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就業規則の不利益変更に従業員が反対!?どうしたらよいの?【社労士からのアドバイス付】


そのために、所定休日を減らすんじゃないのかね。
就業規則の不利益変更に従業員が反対!事例


就業規則変更の手続きの進め方に不安があり、悩んでいませんか?

 

今回のケースの年末年始と夏期休日の廃止は、就業規則の不利益変更となり原則禁止されています。もし、むりやり進めてしまった場合には、従業員とのトラブルや裁判に発展する可能性があります。

就業規則の不利益変更は、裁判例でも以下のような多額の金銭の支払いを会社が命じられたケースがあります。


裁判例1:

スーパーマーケット東京豊洲店事件

基本給を減額して固定残業手当を増やす就業規則の変更を無効と判断し、「約540万円」の支払命令


裁判例2:

クリスタル観光バス事件

年功序列型の賃金制度から成果主義型の賃金制度に移行する就業規則の変更を無効と判断し、「約1200万円」の支払命令


その他、イメージしやすい不利益変更の例には、以下のようなものが挙げられます


賃金の引き下げ

手当の廃止(住宅手当、精勤手当等)

労働時間の変更(例:10時~17時の所定労働時間を10時~18時に変更)

年間休日の削減

福利厚生の廃止や減額


企業からもらえる賃金、手当が引下げられることは、従業員に金銭的不利益があるといえるでしょう。ほかにも、従業員のメリットが無くなる場合は、不利益変更になる可能性が高いです。



1.一定の場合に認められる就業規則の不利益変更

 

就業規則を今の会社の実情にあわせて変更することができなければ、会社経営は立ち行かなくなります。例えば、過去バブルの全盛期に定めた労働条件が、その後の景気後退や外部環境の変化(コロナによる大幅な業績下落)により大きく落ち込んでしまったことにより、もはや今の雇用条件を維持することができなくなったといったケースです。放置すれば、従業員のリストラを余儀なくされるか、最悪の場合、会社が倒産に追い込まれることもあり得ます。こうしたことから、就業規則の不利益変更も、一定の場合には認められています


<就業規則の不利益変更が認められるケース>

①社員全員の同意を得られる場合

②社員全員の同意が得られない場合でも、その変更が合理的なものである場合


①はわかりやすいですが、②の「合理的なもの」かどうかを判断する基準は、労働契約法第10条(就業規則の変更による労働条件の変更)で掲げており、これらを総合的に考慮して判断します※1

こうして就業規則がいったん変更されると、従業員は変更後の就業規則に従う義務を負うことになります。


※1:以下5つの基準があります。

①労働者の受ける不利益の程度

②変更の必要性

③変更後の内容の相当性

④労働組合等との交渉の状況

⑤その他の事情


2.就業規則変更の際に必要となる、従業員代表の選出と意見徴収

 

就業規則の変更(作成)にあたっては、従業員代表からの意見聴取が義務付けられています。


従業員代表とは、次の①または②をいいます。

①従業員の過半数が所属する労働組合がある場合は、その労働組合

②従業員の過半数が所属する労働組合がない場合は、従業員の過半数代表として選出された者


注意したいのは、労働組合がない場合の代表選出方法です。というのも、使用者が一方的に指名して代表を決めているケースをよくみますが、これは違反であり、管理職以外の者の中から、次のいずれかの方法で選出しなければなりません。


・投票、挙手によって過半数の支持を得た者

・予め候補者を決めて、回覧によって信任を求めて過半数を得た者

・各職場の代表者を選出し、これらの者の過半数を得た者


次に、意見聴取ですが、あくまでも従業員代表の意見を聴くだけでよく、「同意を得る」必要はありません。したがって、賛成であろうが反対であろうが、従業員代表の意見書が添付されていれば、労働基準監督署は就業規則を受理してくれるものですし、就業規則自体の効力には何ら影響しません。

ただし、従業員側が規則の内容に反対する場合は、意見聴取に協力せず事業主が意見書を提出できないこともあります。こうした場合でも、従業員代表に意見を聴いたことが明らかとなる書類があれば、労働基準監督署はその就業規則を受け付けてくれます。


例えば、「就業規則の変更(作成)そのものに反対なので、意見書は提出しない」という従業員代表の書面でも構わないですし、従業員代表が選出されないとか、意見書への署名・押印を拒否されるまでの事実経過を記載した理由書を提出することで対処することもできます。


3.就業規則の周知義務

 

労働基準法では、次のような方法で就業規則を周知することが定められています。


・常時職場の見やすいところに掲示するか、備え付ける

・社員に就業規則を配布する

・端末等で何時でも見られるようにする


なお、この周知義務では内容を理解させることまでは求めてはおらず、社員が見たいときに見られる状態にしておけば、それで構いません。

なかには就業規則を社長室に保管していたり、社員に公開していない会社があるが、就業規則の周知義務違反は30万円以下の罰金が科せられるので注意が必要です。


まとめ

 

就業規則の不利益変更は原則認められず、社員全員の同意を得るか、変更が「合理的なもの」であることが求められます。


就業規則の変更(作成)にあたっては、従業員代表からの意見聴取が義務付けられているが、賛成でも反対でも意見を聴くだけでよく、「同意を得る」必要はありません

就業規則は、掲示・備付・書面交付などの方法により周知することが義務付けられており、周知義務違反は30万円以下の罰金が科せられます。


変更が「合理的なもの」である判断は、たとえ社労士や労働基準監督署であっても意見が分かれ得る難しい問題であるため、一定のリスクは避けられないです。

このリスクを最小限に減らしつつ、会社の希望をできる限り実現するには、労務について経験豊富な専門家の力を借りることをおすすめします。


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