割増賃金項目におけるモデル就業規則の問題点と改善案についてご紹介します。
【モデル就業規則の問題点】
残業代の割増率が高く規定されている
みなし残業代が反映されていない
たとえば、上記図の左(悪い例)のように定めている場合です。
中小企業にとっては、残業代の割増率が高く規定されています。モデル就業規則は大企業を基準に作られているので、中小企業はそれに合わせる必要はありません。
さらに、残業代を含めた賃金にしたい場合、みなし残業制度の参考規定がないので、中小企業の実態に合っておらず不便です。
そこで、上記右図のように改善してみましょう。
【改善POINT】
時間外労働の割増率を必要最低限の割増率にしよう
第38条(割増賃金)の時間外労働の割増賃金率が法律を上回って規定されています。
(誤り)
時間外労働45時間超~60時間以下・・35%
時間外労働60時間超・・50%
1年間の時間外労働の時間数が360時間を超えた部分については、40%
(正しい)
時間外労働45時間超~60時間以下・・25%
時間外労働60時間超・・25%
1年間の時間外労働の時間数が360時間を超えた部分については、25%
第38条(割増賃金)の時間外労働の割増賃金率が法律を上回って規定されているので、
中小企業にとってはとても不利です。
中小企業にとって望ましい規定例を2つ紹介します。
規定例1 ※みなし残業代制度がない会社の場合
(割増賃金)
第38条 割増賃金は、次の計算方法により支給する。
①時間外労働の割増賃金
②休日労働の割増賃金(法定休日に労働させた場合)
③深夜労働の割増賃金(午後10時から午前5時までの間に労働させた場合)
2 管理監督の地位にある者については、前項の時間外労働および休日労働の割増賃金は支給しない。ただし、深夜労働の割増賃金は支給する。
規定例2 ※みなし残業代制度を入れる場合
(割増賃金)
第38条 割増賃金は、次の計算方法により支給する。
①時間外労働の割増賃金
②休日労働の割増賃金(法定休日に労働させた場合)
③深夜労働の割増賃金(午後10時から午前5時までの間に労働させた場合)
2 前項の割増賃金は、原則として、固定残業手当として支給する。ただし、固定残業手当が、①から③によって算出された金額に満たない場合は、その差額を支給する。
3 管理監督の地位にある者については、前項の時間外労働および休日労働の割増賃金は支給しない。ただし、深夜労働の割増賃金は支給する。
まとめ
残念ですが、2023年4月以降は、中小企業であっても、1か月60時間を超える時間外労働の割増率が25%から50%に跳ね上がります。
ただし、それまでは25%でまったく問題ありませんので、モデル就業規則のように必要以上に高い割増率を規定しないことをお勧めします。
中小企業にとって最後の猶予期間ですので、この間に残業時間を削減する仕組みができないと経営が一段と厳しくなることが想定されます。
この記事では割増賃金項目についてご紹介しました。
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